新長田まちなか勉強会

神戸市の新長田で、映画、音楽、本、地図、芸能、あらゆる “もの” を通して、古今東西の社会情勢や歴史、背景などを楽しく勉強しましょう。表面的な出来事の背後にある大切なものを見る目を養い、みんなで話し合うことによりたくさんの異なる視点を得ることができます。実際は、わいわい楽しみながら感想を語り合いつつ社会問題に迫っていく感じ。

第80回 新シリーズ「音楽の楽しさとともに」の第1作目を飾る『バンディッツ』1997

次回の映画会のお知らせです。新しいシリーズが始まります。新シリーズ「音楽の楽しさとともに」では、映画の中に音楽がふんだんに使われている6作品を選びました。 第1回目はロックです。さながらMTVを2時間で撮ってみました的な作品で、音楽もストーリー…

第79回 ソ連の監視社会を抜け出した女『イースト/ウエスト 遥かなる祖国』

次回の映画会のお知らせです。「ヨーロッパ辺境の輝きふたたび」シリーズ最終回は、冷戦時代のソ連を舞台に、フランス人女性の数奇な運命を描いた叙事詩的作品です。 イースト/ウェスト 遙かなる祖国【EST-OUEST】監督:レジス・ヴァルニエ1998年 フランス…

第78回 ポーランドの特殊な政治状況下を叙述した推理ドラマ『影』

「ヨーロッパ辺境の輝き再び」シリーズが続いています。 前回の「ブラックブック」は2時間25分の長丁場を全く飽きさせず、ポール・バーホーベン監督の手腕が楽しめたのではないでしょうか。一番最後のシーンは、キブツにイスラエル軍が駐屯している場面で終…

第77回 『ブラックブック』いつ裏切り者に気づきました?私はラストです。

来月の映画のお知らせです。「ヨーロッパ辺境の輝き・再び」シリーズ第4弾。少々わかりにくい作品が続きましたので、ハラハラドキドキが楽しめるサスペンス・スペクタクル映画を選びました。 ブラックブック 【Zwartboek】 ポール・バーホーベン監督 2006年 …

第76回 ソヴィエト当局を怒らせて映画制作を禁じられた「つながれたヒバリ」

前回は緊急事態宣言の指針に基づいて、消毒と換気に気をつけてなんとか無事開催ができました。電車に乗るのも怖いとう人もいる中、たくさんお集まりいただきありがとうございました。感想会では、皆さんがさまざまな解釈をされてることがわかり、楽しいひと…

第75回 3つの話がパズルのように合わさる「そして、私たちは愛に帰る」

緊急事態宣言は延長されましたが、それに伴い兵庫県ではイベントの開催が収容人員の50%以下に緩和されましたので、予定通り、5月16日に新長田まちなか勉強会を開催いたします。 会場では、机・椅子・ドアノブの消毒を徹底し、入場時の手指の消毒、マスク着用…

第74回 運命と人生を描くキェシロフスキ監督『偶然』

来月から新シリーズ<ヨーロッパ周縁の輝き再び>が始まります。ヨーロッパの周縁の輝きシリーズは2回目になりました。再びと題して、ポーランドの映画を取り上げます。 偶然【Przypadek】クシシュトフ・キェシロフスキ監督1981年 ポーランド映画 119分 「運…

第73回 ゴヤの目を通してみた18世紀末のスペイン『宮廷画家ゴヤは見た』

次回の作品はスペインシリーズの最終回です。 宮廷画家ゴヤは見た【Goya's Ghosts】監督:ミロス・フォアマン2006年 スペイン・アメリカ映画 114分 前回の「カラスの飼育」では、カラスの意味や感受性の強い子どもの話など、みなさんの鋭いご指摘でいろいろ…

第72回「カラスの飼育」子どもはいろいろと見て吸収している

前回の「大地と自由」にはコロナウイルスが猛威を振るう中、たくさんの方に来ていただき本当にありがとうございました。また観賞後の感想会では、スペインの人民戦線の中でもいろいろな思想・政党があり、それぞれが他方を排除し弾圧した結果、壊滅に至った…

第71回 ケン・ローチ監督の描くスペイン内戦『大地と自由』

あけましておめでとうございます。昨年は新型コロナが猛威をふるい、悲しいニュースもありました。今年は早く収束し、元の日常が戻ることを願っています。 次回の映画会のお知らせです。 スペイン映画シリーズ第3弾 大地と自由 【Land and Freedom】 監督:…

第70回 『サルバドールの朝』真っ直ぐな心が周りの人を取り込む

新型コロナのせいではありませんが、12月の映画会のお知らせをアップしたつもりが、できていませんでした。記録のために、題名と日程とあらすじ、みなさんの感想を載せておきます。申し訳ありませんでした。 スペイン映画シリーズの第二弾として、 サルバド…

スペイン独裁政権下の不安を少女の幻想の中で描く『パンズ・ラビリンス』

11月の新長田まちなか勉強会のお知らせです。さて、来月から新シリーズが始まります。スペインシリーズです。スペイン人の監督やスペインを舞台にした映画を取り上げていきます。スペイン映画は、今までにもいろいろなシリーズの1つとして観てきましたが、…

『廿日鼠と人間』搾取される側は永遠に不安定

世界の文学シリーズ最後の作品のお知らせです。今回も前回に引き続き白黒映画です。結局カラー作品は『紅いコーリャン』だけでしたね。白黒は眠たくなるという人もいるそうですが、前回の『人間の運命』でも、主人公の波乱万丈の“人間の運命”にハラハラしな…

『人間の運命』戦争に運命を翻弄された男の幸せは

猛暑日が続いていますが、みなさんお元気でお過ごしでしょうか。前回の「紅いコーリャン」ではいろいろな感想が出ましたね。抗日色が強いと思った人、そうでもないと思った人、受け取り方はさまざまです。どの国においても、侵略した方はされた方にどんな酷…

第66回『紅いコーリャン』チャン・イーモウの色彩で莫言の土着伝説を彩る

前回の『レベッカ』鑑賞後、みなさんの感想を聞いていてわかったのですが、主人公を追いつめる恐怖が映画では描き切れてなかったようですね。私は小説も読んでいるのでヒロインの心理がわかって見ていましたが、夫がいつまでもレベッカを愛しているという疑…

第65回 デュ・モーリアの美しい描写をどこまで映像化できるかヒッチコック『レベッカ』

新型コロナの感染が怖い中、世界の文芸シリーズ第1回目『リア王』にたくさんお集まりいただきありがとうございました。これからも感染防止のため、扉、窓の開放、座席の間隔を広げる、テーブルの除菌、入り口での手の消毒など、皆さんに安心してお集まりいた…

5/17開催予定の 『リヤ王』延期の知らせ

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月17日に予定しておりました新長田まちなか勉強会開催の『リヤ王』の上映会を6月21日に延期いたします。 すでに予定を空けてくださっていた方には心よりお詫び申し上げます。 新しいシリーズで6月にお会いできるのを…

第64回 世界の名作文学シリーズ始まります『リア王』

第1回目はシェークスピアを取り上げました。数ある『リア王』の映画化の中でも最高峰だと思います。 リア王 監督: グリゴーリー・コージンツェフ 1970年 ソ連映画 130分 新型コロナウィルス禍で、会合が難しい状態になってしまいました。4月5日の勉強会は悩…

第63回『さよなら、アドルフ』いい邦題つけましたね

ドイツシリーズ最終回のお知らせです。ドイツを題材にした映画といえば「嫌なナチスvs.かわいそうなユダヤ人」という作品によく出会いますが、そんな簡単な図式を選ばないように気をつけながらこの半年間作品選びをしてきました。そして最終回はホロコースト…

第62回 完璧な映像世界でナチズムへの予言を観る者に突きつける『白いリボン』

次回の映画会のお知らせです。2020年は、ドイツ映画シリーズ第4回の『みえない雲』で幕開けしました。なるべくハリウッド映画が描くようなステレオタイプの<ヒトラーvs.ユダヤ人もの>が並ばないようしています。さて次回は、なぜファシズムを生み出す社会…

第61回『みえない雲』で内部被曝と脱原発について考える

2019年は辺境のヨーロッパシリーズ、北欧シリーズ、ドイツシリーズと続き、12月には第60回を迎えました。見に来てくださる方がいらっしゃるからこそ、ここまで長続きできたのだなと感慨深い思いです。2020年も楽しい映画をたくさん一ラインナップします。ど…

『名もなきアフリカの地で』映画の主人公は娘レギーナなのか?

12月の映画のお知らせです。新長田町なか勉強会もついに60回を迎えました。映画鑑賞後はその映画の歴史的背景や知ったり、社会の仕組みを理解したり、さらにわからないシーンの謎が解けたり濃ーい会になっています。いつも思うのですが、見方は1つではない…

『グッバイ・レーニン!』ベルリンの壁崩壊の時代の家族愛を描く

次回のお知らせです。 前回は第二次世界大戦の頃の話を取り上げました。第二次世界大戦のドイツ映画といえばナチの極悪非道を描く作品が多いと思いますが、『橋』は戦争そのものの虚しさを訴える秀作だったと思います。 さて、ドイツ映画シリーズ第2弾はベル…

『橋』少年兵と一緒に戦争の愚かさを追体験

新しく「ドイツ映画シリーズ」が始まります。前回の「アナとオットー」の恋愛映画から打って変わって、次回は戦争映画を取り上げました。第二次世界大戦末期のごく普通の中学生が体験する戦争を描いた秀作です。 橋 【Die Brücke】 監督:ベルンハルト・ヴィ…

北極圏へ向かう偶然の恋人たち『アナとオットー』

ほんの少しだけ暑さがマシになったような気がするとはいえ、毎日暑い日が続いています。いかがお過ごしですか。次の北欧映画シリーズ最終回のお知らせです。 アナとオットー【Los Amantes del Círculo Polar】フリオ・メデム監督1998年 スペインの映画 112分…

『白夜の時を超えて』双子の魂は永遠に一緒だと信じてた

毎日蒸し暑いですね。8月の新長田まちなか勉強会のご案内です。 白夜の時を超えて 【Fire Eater : Tulennielija】 監督 : ピルヨ・ホンカサロ 1998年 フィンランド映画 100分 北欧シリーズ第4弾は、再びフィンランド映画を選びました。ピルヨ・ホンカサロ監…

大人になる過程を爽やかに描く「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」

北欧シリーズの第三弾は、スウェーデンの映画を取り上げました。 マイライフ・アズ・ア・ドッグ【Mitt liv som hund】ラッセ・ハルストレム監督1985年 スウェーデン映画 102分 ラッセ・ハルストレム監督は英語の作品が多いので、勝手に米国人だと勘違いして…

意外と知らないフィンランドの内戦『4月の涙』

6月の新長田まちなか勉強会のお知らせです。 北欧シリーズの第2弾は再びフィンランドの映画を取り上げました。あまり知られていないフィンランドの歴史を映画で知ることができます。 4月の涙【Kasky】監督 : アク・ロウヒミエス 2008年 フィンランド・ドイツ…

第53回 最後はしっとり幸せな気分がこみ上げる『過去のない男』

新しく「北欧が生み出した映画シリーズ」が始まります。 5月の作品は、アキ・カウリスマキ監督作品 過去のない男[MIES VAILLA MENNEISYYTTA]2002年 フィンランド・ドイツ・フランス映画 97分 アキ・カウリスマキが大好きという人ならもうご覧になっているで…

第52回『黒猫・白猫』の狂騒的コメディに隠された意味

月の映画会は機材を新調し、「亀も空を飛ぶ」を無事上映することができました。たくさんの方にお越しいただき、クルド人の子どもたちのあまりの過酷な運命にみんな言葉を失いました。クルジスタンという国のこと、イランイラク戦争のこと、イラクのクウェー…