新長田まちなか勉強会

神戸市の新長田で、映画、音楽、本、地図、芸能、あらゆる “もの” を通して、古今東西の社会情勢や歴史、背景などを楽しく勉強しましょう。表面的な出来事の背後にある大切なものを見る目を養い、みんなで話し合うことによりたくさんの異なる視点を得ることができます。実際は、わいわい楽しみながら感想を語り合いつつ社会問題に迫っていく感じ。

第64回 世界の名作文学シリーズ始まります『リア王』

第1回目はシェークスピアを取り上げました。数ある『リア王』の映画化の中でも最高峰だと思います。

 リア王
 監督: グリゴーリー・コージンツェフ
 1970年 ソ連映画 130分

新型コロナウィルス禍で、会合が難しい状態になってしまいました。
4月5日の勉強会は悩みつつ開催しましたが、入り口でのアルコール消毒、マスク着用、座席間隔を開け、ドアを開っぱなし換気をするなど、出来る限りの感染予防を行いました。
お越しくださったみなさま、どうもありがとうございました。
おかげで有意義な感想会を持つことができました。
アップが多く揺れる画面からケイト・ショートランド監督の意図を問う人、刷り込まれた差別意識を問題提起する人、同行したユダヤ人青年の目的は?、青年はユダヤ人ではなくロマかも、いや本人がいう通り囚人だった、鹿の置物を壊すことで過去との決別、戦争が終わって故郷にまっすぐ帰りたがらないのはなぜ?、まだまだありますが、かなりいろいろ話し合うことができました。ユダヤ人側から描いた差別の映画は「過去の話」になるが、ドイツ人側から描いた差別の映画は「これからの話」になるという言葉が印象的でした。

緊急事態宣言が出てしまった今、来月の開催ができるかどうかわかりませんが、とりあえず次回の作品のお知らせをいたします。

ドイツ映画シリーズが終わり、新しく「世界の名作文学シリーズ」が始まります。
誰もが知っている文芸作品の中から、良質に映像化されたものをピックアップし、まな板に乗せて論議したいと思います。
作品を読んだ人は、「イメージが違いすぎる!」などと文句が出るかもしれません。私自身も映画より小説派です。小説を超えるものはほとんどないと日頃から断言してる者です。
そんな文句も含めて上映後に感想を言い合いましょう。

第1回目に取り上げたグリゴーリー・コージンツェフ監督の『リア王』は原作に忠実なあらすじで、舞台で4時間かかる作品を見事に2時間に縮めています。

ロシアは本国イギリスの次にシェークスピアが読まれている国で、中でも監督のグリゴーリー・コージンツェフはシェークスピアの論文をいくつか発表するほどのシェークスピア研究家です。
原作をロシア語に翻訳したのは、ノーベル賞作家のボリス・パステルナーク。
音楽はディミトリ・ショスタコヴィッチ。演奏はレニングラード国立フィルハーモニー・オーケストラ。
役者は舞台で活動していたヤルヴェトを筆頭に一流の役者を揃え、素晴らしい実写の映像が観る者を圧倒します。ご期待ください。

あらすじはご存知の通り。
リア王は退位を決意して、三人の娘たちに自分をどれだけ愛しているか尋ねますが、長女と次女はお世辞を言うのに三女のコーデリアは素直に言葉にしません。怒ったリア王コーデリアを勘当し、彼女をかばったケント伯も追放してしまいます。
コーデリアは求婚していたフランス王と結婚し、リア王は城を引き継いだ長女夫婦と暮らしますが、長女はリア王を邪険に扱います。そこでリア王は次女のところに行きますが、やはり冷たく扱われ、嵐の荒野へ飛び出した挙げ句、気が狂ってしまいます。
一方リア王重臣グロスター伯爵の家では・・・

緊急事態宣言前に作ったチラシでは、5月17日日曜日を予定しています。
状況が変わればその都度、お知らせいたします。

  日時 : 2020年 5月17(日) 15:00〜 事前の申し込みは必要ありません
  場所 : 新長田小劇場劇団どろアトリエ改メ
        (新長田アスタくにづか5番館2階奥)
      地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
      新長田駅から大正筋を南へ10分
  参加費 : 500円(会場使用料として)

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