新長田まちなか勉強会

神戸市の新長田で、映画、音楽、本、地図、芸能、あらゆる “もの” を通して、古今東西の社会情勢や歴史、背景などを楽しく勉強しましょう。表面的な出来事の背後にある大切なものを見る目を養い、みんなで話し合うことによりたくさんの異なる視点を得ることができます。実際は、わいわい楽しみながら感想を語り合いつつ社会問題に迫っていく感じ。

第62回 完璧な映像世界でナチズムへの予言を観る者に突きつける『白いリボン』

次回の映画会のお知らせです。

2020年は、ドイツ映画シリーズ第4回の『みえない雲』で幕開けしました。
なるべくハリウッド映画が描くようなステレオタイプの<ヒトラーvs.ユダヤ人もの>が並ばないようしています。
さて次回は、なぜファシズムを生み出す社会になっていったのか、ということを考えさせる映画を選びました。

 白いリボン
 【Das weise Band】
 監督 : ミヒャエル・ハネケ
 2009年 144分

■あらすじ
1913年、ドイツのひなびた村で次々と悪質ないたずらが起こります。
最初の事件はドクターの落馬事故。屋敷の入り口に針金が渡されており、馬に乗って帰宅途中のドクターが重傷を負ってしまいます。
次は小作人の妻が男爵家の製材所で床下に転落して死んでしまいます。しかし小作人は仕事が必要なので男爵を訴えることができません。
第三の事件は、男爵の少し障害のある息子が行方不明になり、製材所で逆さ吊りの状態で発見されます。
誰の犯行かわからず、村じゅうが疑心暗鬼になります。
牧師は帰宅時間が遅れた子どもたちの腕に、罰として「白いリボン」を巻きつけ、純粋無垢の戒めとします。

いっけんのんびりとした村を支配する抑圧の空気。物語は村の学校の元教師の回想によって語られますが、その教師もいい人のようで実はそうでもなく、ドクターや男爵や牧師も人格者のように見えますが・・・。
これ以上はここに書けませんが、翌年、第一次世界大戦に突入し、やがてファシズムに傾倒していく歴史を知っている私たちは、なぜそうなってしまったのかを感じ取っていきたいと思います。
これって今の日本にとても似た状態だと思います。どう似ているかは作品を見終わった後に討論しましょう。
少し長いですが、椅子に座布団を2枚重ねて、是非一緒に見ましょう!

第62回カンヌ国際映画祭パルム・ドール、第67回ゴールデングローブ賞外国語映画賞ほか、多数の映画賞を受賞。

       日時 : 2020年 2月23(日) 15:00〜 事前の申し込みは必要ありません
  場所 : 新長田小劇場劇団どろアトリエ改メ
        (新長田アスタくにづか5番館2階奥)
      地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
      新長田駅から大正筋を南へ10分
  参加費 : 500円(会場使用料として)

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