12月の映画のお知らせです。
新長田町なか勉強会もついに60回を迎えました。
映画鑑賞後はその映画の歴史的背景や知ったり、社会の仕組みを理解したり、
さらにわからないシーンの謎が解けたり濃ーい会になっています。
いつも思うのですが、見方は1つではないなあと。
違う感想や勘違いがあるからこそ、物事は多面的なんですね。
さて記念すべき60回めということで、感想が分かれそうな映画を取り上げました。
名もなきアフリカの地で
【Nirgendwo in Afrika】
監督 : カロリーヌ・リンク
2001年 ドイツ映画 141分
<あらすじ>
ドイツに住むユダヤ人一家は、ナチスの迫害を逃れてケニアに移住します。弁護士だったヴァルターが先にケニアに渡っていたので、妻イエッテルは娘をつれてその後を追いかけました。画面からわりと裕福な一家だということがわかりますが、遠いアフリカに持っていけるものは限られているというのに、イエッテルは美しい食器やドレスなどを選んだのでした。さらに彼女はケニアに全く慣れようとはせず、そのせいで夫ともうまくいきません。一方娘のレギーナはすぐに順応し、中でも一家の料理人オウアに心を開き、ケニアの生活にどんどん溶け込んでいきます。
ところが戦争が勃発し、ケニアはイギリス領だったので、一家は敵国人ということで収容所に入れられてしまいます。母娘はまもなく釈放されましたが、ヴァルターの仕事を世話してもらうためにイエッテルは収容所の英国人に近づきます。
これはシュテファニー・ツヴァイクの自伝を映画化しています。シュテファニーは自伝の中で自分の母親のことをあまりいいように書いていませんが、この映画では母親のイエッテルが一番成長したのはではないかと思いました。レギーナは賢く順応しやすい子で、しなやかに成長していきます。彼女の広い心と強い精神力はほんとうに素晴らしい。この映画の肝のひとつですね。
一方金持ちのお嬢様としてぬくぬくと育ってしまったイエッテルは、なかなか順応できない女。それが最後の最後に互いの違いを認められるようになり、アフリカに残って農場を経営していこうと思うようになります。彼女なりに大変な葛藤があったのではないでしょうか。
結末の好き嫌いも分かれるでしょうね。またケニアの地名までわかっているのになぜ「名もなきアフリカの地」なのか?
迫害されるユダヤ人なのに黒人を見下すこと。入植して現地人を搾取する白人。植民地政策。オウアは忠実な友人?使用人?
いろいろ考えどころ満載ですが、映画自体は難しくありません。物語の世界に身を任せてぼーっと見ているだけで楽しめる素晴らしい作品です。
ぜひお越しください。
日時 : 2019年 12月22日(日) 15:00〜 事前の申し込みは必要ありません
場所 : 劇団どろアトリエ改メ「新長田小劇場」
(新長田アスタくにづか5番館2階奥)
地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
新長田駅から大正筋を南へ10分
参加費 : 500円(会場使用料として)