前回の「東欧の記憶シリーズ」、ドイツが舞台、監督がハンガリー人という映画『メフィスト』をご覧いただきました。
観賞後の感想会で、現代の私たちは、ナチスドイツにおいて、ホロコーストや言論の弾圧があることを知っているけれども、1933年の政権奪取の瞬間になぜ芸術家たちは国外に逃亡したのかという疑問が出ました。
調べたところ、ナチスは政権を取る10年前から突撃隊(SA)を使って「言論」と「暴力」を全開にしていたことがわかりました。
ヒトラーは党のプロパガンダにおいて、政権を取ったら「マルクス主義者(左翼)やユダヤ人を社会から排除する」「退廃した文化を粛清する」と、あらかじめ公に宣言していました。ですから、芸術家たちは自分たちの表現が完全に止められると直感したのです。
ドイツの役者はドイツ語が使えないところで活躍するのは難しい。けれども、「自由な表現」が奪われるくらいなら、役者として死んだも同然だと考え、言葉の通じない外国へ逃げる苦難を選んだ人に対し、ヘンドリックは、ただ拍手喝采を浴びたいというだけで、魂を売ってでも逃げない道を選んだ。だから「私はただの役者だ」というのはやはり言い訳で、自分に思想がなかったということなのですね。
私だったらどうするかなと考えて込んでしまいました。日本語が通じない世界で、一からやり直すなんてできるのでしょうか。
次回、東欧シリーズは終わって、極東の旧ソ連スーチャン。北海道の西対岸が舞台です。
動くな、死ね、甦れ!
【Замри, умри, воскресни!】
監督 : ヴィターリー・カネフスキー
1989年 / ソ連映画 / 105分
<ストーリー>
第二次大戦直後、ソ連極東の炭鉱町スーチャン。12歳の少年ワレルカと、彼の危機を救ってくれる守護天使のような少女ガリーヤ。
荒涼とした収容所地帯で、ワレルカのちょっとした悪戯は大事件になっていき、ついに村にいられなくなってしまう。ワレルカのことが気になるガリーヤの淡い想い。しかし、彼らの運命はやがて最悪の結末を迎える——。
第43回カンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞。
スーチャンはソ連人の収容所と日本人の捕虜収容所がある町です。
劇中音楽は日本人の捕虜が歌う民謡。突然日本語の歌が流れて最初はびっくりしますが、不思議としっくりきています。
とても珍しい作品なので、ぜひご覧ください。
日時 : 2026年7月26日(日) 15:00 事前の申し込みは必要ありません
場所 : 新長田小劇場 :劇団どろ
(新長田アスタくにづか5番館2階奥)
地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
新長田駅から大正筋を南へ10分
参加費 : 500円(会場使用料として)






