新長田まちなか勉強会

神戸市の新長田で、映画、音楽、本、地図、芸能、あらゆる “もの” を通して、古今東西の社会情勢や歴史、背景などを楽しく勉強しましょう。表面的な出来事の背後にある大切なものを見る目を養い、みんなで話し合うことによりたくさんの異なる視点を得ることができます。実際は、わいわい楽しみながら感想を語り合いつつ社会問題に迫っていく感じ。

第111回 シェイクスピアの思惑とは違う演出『ヴェニスの商人』

次回の映画会のお知らせです。
名作を映画化してみるシリーズの第1回目「ベニスに死す」はいかがでしたか?
トーマス・マンの「ベニスに死す」では、主人公が美少年タージオに惹かれていく様子がずっと描かれていました。
映画では、友人と美について論争するところを入れたり、主人公の職業を美を作り出す音楽家(原作は作家評論家)として描いたりして、作り出せない美に主人公が惹かれるいう感じでしたね。
感想会では、この映画はヨーロッパの金持ちが下層民を気にせず、自分たちが優雅だと思うことを相変わらずやっていることの滑稽さを批判している、という意見も出ました。
アッシェンバッハは滅びゆくヨーロッパを表し、タージオのような新しくダイナミックな変化を必要としているのだという意見もありました。
「何度も鑑賞しているが見るたびに違う感想を持つ」と、みなさんおっしゃっていたのが印象的でした。

さて次回はシェイクスピア劇です。戯曲はまさにト書きがない分、いくらでもセリフの言い方で違う解釈ができます。

 ヴェニスの商人
 【The Merchant of Venice】
 マイケル・ラドフォード監督
 2004年 アメリカ映画 130分

<あらすじ>
1596年のヴェニス。バッサーニオは、ベルモントに住む美しい女性ポーシャに求婚するため、アントーニオに金を借りに来る。ところがアントーニオの全財産は船の積荷の中にある。そこでアントーニオはユダヤ人の金貸しシャイロックから金を借りることにするが、シャイロックは無利子で貸すことを承諾した。ただし、期限内に借金が返せなかったら、アントーニオの肉1ポンドを引き替えにもらうという条件がついていた。

おそらくシェイクスピアの時代は、キリスト教を信じる人バンザイだったのでしょう。芝居を何回か見て後味が悪い思いをしましたが、この映画をみて当時のユダヤ人へ偏見がよくわかりました。

だからといってユダヤ人が積年の恨みを晴らしてもいいとは思いません。同じことをパレスチナ人にやり返さないでほしいですね。
ぜひ感想会で論議しましょう。

  日時 : 2024年5月26日(日) 15:00 事前の申し込みは必要ありません
  場所 : 新長田小劇場 :劇団どろアトリエ改メ
     (新長田アスタくにづか5番館2階奥)
      地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
      新長田駅から大正筋を南へ10分
  参加費 : 500円(会場使用料として)