新長田まちなか勉強会

神戸市の新長田で、映画、音楽、本、地図、芸能、あらゆる “もの” を通して、古今東西の社会情勢や歴史、背景などを楽しく勉強しましょう。表面的な出来事の背後にある大切なものを見る目を養い、みんなで話し合うことによりたくさんの異なる視点を得ることができます。実際は、わいわい楽しみながら感想を語り合いつつ社会問題に迫っていく感じ。

第72回「カラスの飼育」子どもはいろいろと見て吸収している

前回の「大地と自由」にはコロナウイルスが猛威を振るう中、たくさんの方に来ていただき本当にありがとうございました。
また観賞後の感想会では、スペインの人民戦線の中でもいろいろな思想・政党があり、それぞれが他方を排除し弾圧した結果、壊滅に至った理由がよくわかりました。
私一人で見ていた時は、勇気あるイギリスの若者がスペイン内戦の義勇軍に参加し、内部抗争でうまくいかなかったんだな、ぐらいに感じていたのですが、思想の違いがわかるとより深く理解することができました。
いろいろあってうまくいかなくても、その心意気は脈々と引き継がれていくぞと思わせるラストが秀逸でしたね。
それにしても今現在世の中に起きている困ったことに、居ても立ってもいられないと行動を起こす人に心から感動を覚えます。ほんの小さな変革でも、めんどくさくてまたは恥ずかしくて行動に起こせない自分が情けなく思います。

次回の作品のお知らせです。
スペイン映画シリーズ 第4弾。


 カラスの飼育
  【CRIA CUERVOS】
  カルロス・サウラ監督
  1975年 スペイン映画 107分

<あらすじ>
マドリッドの古い大邸宅に、9歳のアナ(アナ・トレント)が、父、姉妹、祖母、女中と暮らしている。元ピアニストの母親が亡くなってから、アナはよくの母の幻影を見るようになっていた。
ある日アナは職業軍人の父が知人女性と情事にふけっているところを目撃してしまい、父はその後心臓発作で亡くなってしまう。

 感受性の豊かな子どもは大人の関係性ややりとりをよく見ています。この映画で子どもたちは両親の会話をままごとでそっくり再現していて、ぎょっとさせられました。

 あの吸い込まれそうなおめめで、アナが大人の抑圧や狡猾さや汚さを見て、さてどんなことをするのでしょうか。どうぞお楽しみに。
 カラスの飼育とはスペインのことわざで、カラスを飼育しても目をほじくられる、つまり飼い犬に手を噛まれるという意味だそうです。その比喩が何を指すのかも話し合いたいですね。

カンヌ国際映画祭1976年29回グランプリ(審査員特別賞)

換気のため扉と窓を開けて上映いたします。どうぞ暖かくしてお越しください。

 日時 : 2021年2月23日(火/祝日) 15:00 事前の申し込みは必要ありません
 場所 : 新長田小劇場 :劇団どろアトリエ改メ
     (新長田アスタくにづか5番館2階奥)
      地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
      新長田駅から大正筋を南へ10分
 参加費 : 500円(会場使用料として)

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