世界の文学シリーズ最後の作品のお知らせです。
今回も前回に引き続き白黒映画です。結局カラー作品は『紅いコーリャン』だけでしたね。
白黒は眠たくなるという人もいるそうですが、前回の『人間の運命』でも、主人公の波乱万丈の“人間の運命”にハラハラしながら、あちこちに見え隠れするスターリン批判に気づき、戦争孤児との出会いに涙して、寝ている暇はありませんでした。
来月の作品も眠くならないこと請け負いです。
『廿日鼠と人間』
【Of Mice and Men】
1939年 アメリカ映画 106分
ジョン・スタインベックの同名小説の映画化作品。
<あらすじ>
大恐慌の1930年代、ジョージとレニーの季節労働者として農場を渡り歩いていた。レニーは頭が弱く、その気はなくても揉め事を起こしてしまうため、ジョージがあれこれと面倒を見ていた。彼らの夢は自分たちの農場を持つこと。しかし今日も前の農場に居られなくなり、新しい勤め先にやってきたのだった。
新しい農場主の息子は好戦的で、その女房は浮気性。ジョージはレニーに彼らと係わりを持つなと、言い聞かせるのが・・・。
原作者のスタインベックも大恐慌中、季節労働者として働きながら作品を発表し続けました。
『二十日鼠と人間』はアメリカにおける搾取される側の立場の弱さを描いており、一度つまずくと、負のスパイラルから抜け出せず、一生不安定な身分になってしまう悲しさを、男同士の友情に絡めて仕上げています。
今の日本とそっくりですね。
その2年後に『怒りの葡萄』でアメリカの労働問題を正面から取り上げ、1952年に自伝的な『エデンの東』を発表、1962年にノーベル文学賞を受賞しました。
世界文学作品シリーズでは取り上げたい作品がたくさんあったのですが、どうしても3時間越え、はたまた6時間、8時間など一緒に鑑賞するには無理がある作品ばかりでした。本当にチョイスが難しいことを認識いたしました。
この作品はスタインベック本人によって戯曲としてリライトされており、シリーズ最後を飾るちょうどいい作品になったと思います。
友情、資本主義、黒人差別、ゲイリー・シニーズのリメイクとの比較など、いろいろな角度から話し合いができそうです。
どうぞお越しください。もちろんコロナ対策も万全です!
日時 : 2020年 10月18日(日) 15:00〜 事前の申し込みは必要ありません
場所 : 新長田小劇場劇団 :どろアトリエ改メ
(新長田アスタくにづか5番館2階奥)
地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
新長田駅から大正筋を南へ10分
参加費 : 500円(会場使用料として)