北欧シリーズの第三弾は、スウェーデンの映画を取り上げました。
マイライフ・アズ・ア・ドッグ
【Mitt liv som hund】
ラッセ・ハルストレム監督
1985年 スウェーデン映画 102分
ラッセ・ハルストレム監督は英語の作品が多いので、勝手に米国人だと勘違いしていましたが、スウェーデン人ですね。
ギルバート・グレイプ (1993)、サイダーハウス・ルール(1999)、ショコラ(2000)、シッピング・ニュース(2001)、親愛なるきみへ(2010)など心温まる作品をたくさん撮っている監督ですが、HACHI 約束の犬(2009)や僕のワンダフル・ライフ(2017)、犬が好きなのでしょうか?
あらすじ
1950年代の終りごろのスウェーデン。少年イングマルは歳の離れた兄と病気の母親と暮らしています。不器用で失敗ばかりのイングマルは、悲しくなると「スプートニクに乗せられ宇宙に放たれたライカ犬よりましだ」と思うことで自分を慰めていました。
寂しさから母親の気を引くためにやったことが、かえって母親の気に障り、ついに兄弟別々に親戚の家に預けられることになります。
イングマルを預かってくれるおじさんの村は、田舎で、個性的な人ばかり。おじさんの家族や村人もやさしくて、イングマルは楽しい一夏を過ごすことができました。
夏が終わって家に帰ると、母親の病状が悪くなり入院。イングマルは再び暗い気持ちでおじさんの村に戻ってきます。
戻ってみると村は不況により、少し雰囲気が変わっていました。おじさん家の1階はギリシャ人家族に貸しており、親友サガとも微妙な距離感を感じ・・・
最後の場面に実際のニュースを流すことで、イングマルの人生も現実にずっと続いていき、いろいろあるかもしれないけど、ちゃんと生きていくんだなと表現されていました。こういう作り方が上手な監督ですね。
なにも劇的な事件は起こりませんが、いろいろな人と関わることにより、イングマルは自分自身で少しずつ殻を破り、成長していきます。
「ライカ犬よりまし」と思って自分を慰めていたのに、それと同じことを愛犬シッカンにしてしまったと知り、ずっと保っていたギリギリの精神状態が爆発したのでしょうか。
いつも素直ないい子が理想ではなく、泣いたり、すねたり、爆発したりして、自分で乗り越えていくのが人間なんだと作者は言っているように感じました。
ほんとうに心にしみるいい映画です。みんなで享有したいですね。
ぜひお越しください。
海の日です。お間違えなく。
日時 : 2019年 7月15日(祝・月) 15:00〜 事前申し込の必要はありません
場所 : 劇団どろアトリエ
(新長田アスタくにづか5番館2階奥)
地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
新長田駅から大正筋を南へ10分
参加費 : 500円(会場使用料として)