辺境の輝きシリーズ第2弾はタジキスタンの映画です。
ルナ・パパ
【Luna Papa】
監督 : バフティヤル・フドイナザーロフ
1999年製作 ドイツ・オーストリア・タジキスタンはか8カ国合作 107分
タジキスタン出身のバフティヤル・フドイナザーロフ監督が、ソ連が崩壊し、その後に続く内戦下のタジキスタンを舞台にリアルでありながら実にファンタジーな世界を描いています。冒頭の空から撮った沙漠地帯や集団で馬を走らせるところなど、あまりなじみのないタジキスタンの景色にワクワクします。
あらすじ
17歳の娘マムカラットは、父親と戦争で精神を病んだ兄と三人でタジキスタンの小さな村に暮らしています。
ある満月の晩、演劇を見に行った際に俳優を名乗る男に誘惑され、妊娠してしまいます。堕胎をしようと村の医者を訪ねますが、医者は内戦の流れ弾に当たって死亡。仕方なくマムカラットは、父と兄と一緒にお腹の父親を探す旅に出かけます。
ソ連が崩壊し、そのうちの一つタジキスタンも独立しましたが、旧ロシア系とイスラム系で内戦が始まってしまいました。
この背景を知っていると、荒廃した景色や置き去りにされた戦車などが理解できると思います。
また、お兄さんがアフガニスタン戦争で精神を病んでしまったことや、ロシア兵が大手を振ってこの国で勝手な振る舞いをしていることも、当時のタジキスタンの状況がよく理解できるところです。そもそもの発端である楽しみにしていた演劇に遅れたのは、兵士に車を止められたのが原因ですからね。
マムカット役のチュルパン・ハマートヴァが、とっても魅力的ですね。かわいいけれど、強くて健気な女の子を上手に演じています。お父さんとお兄さんの大きな愛も素晴らしい。
エンディングにも驚かされますが、最初から最後まで語り手がお腹の赤ちゃんなのが、締めくくりを効果的にしています。
もうお別れだ。僕はママと行く。
悪魔と戦う叔父さんを残して 空へ飛び去る。
心の狭い、怖い顔の人たち
人間の悪魔たち さよなら。
そろそろ時間だ。
Happy birthday!
フドイナザーロフ監督がファンタジーの手法を使って、タジキスタンの現在と未来を描いている人間賛歌の映画です。
あなたはどう思われますか。一緒に見て幸せに浸りましょう!
日時 : 2018年 11月23日(祝日)15:00〜 事前申込の必要はありません
場所 : 劇団どろアトリエ
(新長田アスタくにづか5番館2階奥)
地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
新長田駅から大正筋を南へ12分
参加費 : 500円(会場使用料として)