次回の映画会のお知らせです。
父 パードレ・パドローネ
【Padre Padrone】
監督:パオロ・タヴィアーニ & ヴィットリオ・タヴィアーニ
1977年 イタリア映画 114分
パオロ・タヴィアーニとヴィットリオ・タヴィアーニは兄弟で、お兄さんのヴィットリオはほんの2ヶ月前の4月に亡くなりました。今度の映画会はお弔い鑑賞会です。
兄弟でたくさんの映画を撮りました。演出は一緒にしているそうです。
今回の上映は『父 パードレ・パドローネ』を選びました。ガヴィーノ・レッダの自伝的小説が原作です。
あらすじ
地中海の孤島サルディーニア。冒頭で原作者本人が出てきて自分の生い立ちを語り始めます。
カヴィーノが学んでいる小学校に父親が突然棒を持って現れます。羊飼いに学問はいらないとカヴィーノは無理やり家に連れ戻され、山奥の羊小屋で羊の番をしながらたった一人で生活することになりました。
誰とも喋らない孤独と、恐ろしい自然への恐怖。そして父親からの厳しい折檻。パードレとパドローネは音が似ていますが、パードレは父、パドローネは主人という意味。ガヴィーノは父であり主人である人から強い支配を受けて、文盲のまま育ちます。
孤独から体を揺する癖がついたり、たまたま通りかかった旅芸人の音楽に心打たれりと、彼の厳しい生活は二十歳になるまで続きます。
そして徴兵され軍隊に入った時、ガヴィーノに転機が訪れました。
サルディーニア島の言葉しか知らなかったガヴィーノは本土の標準イタリア語が理解できませんでした。それを助けてくれたのが軍隊仲間のチェーザレ。彼からイタリア語を学び、どんどん知識を吸収して高校の卒業資格を得、さらに大学受験をしようとしますが、そのことが父親に知れた時、・・・。
子どもを所有物のように扱うのは決して許されることではありません。そういう考えのせいで、今でも子どもの虐待死が後をたたない。ガヴィーノは成功して言語学者になりましたが、そうじゃない子の方が圧倒的に多いと思います。
でもサルディーニア島は自然環境が過酷ゆえに強い家父長制が残り、息子を徒弟のように育てて跡を継がせルシかなかったのでしょう。
父親もそのようにして育ってきたのです。だからこそ息子が自分の知らない世界に行くのが怖い。怖いからこそ行かせたくない。父親もその慣習の被害者なのですね。
今回は教育のこと、慣習のこと、タヴィアーニ兄弟の描き方のこと、いろいろ話しましょう。
どうぞお越しください。
日時 : 2018年 7月29日(日)15:00〜 事前申し込の必要はありません
場所 : 劇団どろアトリエ
(新長田アスタくにづか5番館2階奥)
地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
新長田駅から大正筋を南へ12分
参加費 : 500円(会場使用料として)