新長田まちなか勉強会

神戸市の新長田で、映画、音楽、本、地図、芸能、あらゆる “もの” を通して、古今東西の社会情勢や歴史、背景などを楽しく勉強しましょう。表面的な出来事の背後にある大切なものを見る目を養い、みんなで話し合うことによりたくさんの異なる視点を得ることができます。実際は、わいわい楽しみながら感想を語り合いつつ社会問題に迫っていく感じ。

フェリーニの「カビリアの夜」で「最貧困女子」問題を考える

次回の映画会のご案内が大変遅くなりました。
6月10日、もう明日に迫っております。

 カビリアの夜
 監督:フェデリコ・フェリーニ
 【Le Notti di Cabiria】1957年 113分


 なかなか書けなかったのは、忙しいのが理由ではなく、主人公カビリアの生き方に胸が潰れてしまったのがやはり大きな理由です。
 最近日本でも若者の貧困が問題となっており、さらに定職に就けなかったり、国の援助が受けられなかったりする人はもっともっと酷い状況にあって、女性では性産業で働かざるを得ない人たちもいます。最近読んだ本では『最貧困女子』(鈴木大介著,幻冬舎新書. 2014) 『最貧困シングルマザー』(鈴木大介著,朝日文庫. 2015) が詳しいルポタージュでした。
 みんな好きでやっているのではなく、早くこの生活から抜け出したいと思っているのです。
 映画の中のカビリアも、「いつかこの状況が変わる」と信じ、それを心から願ってるので、裏切られたときは本気で怒ります。じっと耐えない。そこがいいですね。そしてその後であっけらかんと立ち直ります。
 でもオスカーは実に用意周到でした。催眠術中の「持ち家も貯金もある」っていう言葉を聞いていたんですね。
 最後のカビリアの表情が素晴らしい。彼女の心はとても純粋で根っから人を信じるタイプ。だから騙されるのでしょう。だけど、「ボナ・セーラ(こんばんは)」と微笑んで言われたら、世の中にはまだいい人はいっぱいいるんだと思って、また明日から頑張れるんでしょうね。そういう表情ができるジュリエッタ・マシーナの演技が冴えます。この映画の成功はジュリエッタ・マシーナの演技力に尽きますね。ぜひ映画会にお越しください。
 貧困問題やジュリエッタ・マシーナの演技など感想をいろいろ話し合いましょう。

    日時 : 2018年 6月10日(日)15:00〜  事前申し込の必要はありません
  場所 : 劇団どろアトリエ
    (新長田アスタくにづか5番館2階奥)
      地下鉄海岸線駒ヶ林駅すぐ
      新長田駅から大正筋を南へ12分
  参加費 : 500円(会場使用料として)

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