新長田まちなか勉強会

神戸市の新長田で、映画、音楽、本、地図、芸能、あらゆる “もの” を通して、古今東西の社会情勢や歴史、背景などを楽しく勉強しましょう。表面的な出来事の背後にある大切なものを見る目を養い、みんなで話し合うことによりたくさんの異なる視点を得ることができます。実際は、わいわい楽しみながら感想を語り合いつつ社会問題に迫っていく感じ。

第22回 新シリーズ「フランス映画でみる映画のルーツへの旅」 〜『大いなる幻影』

ソヴィエトシリーズが終わり、フランス映画シリーズが始まります。

フランスは1895年にルミエール兄弟によって初めて映画が上映された国です。
フランス映画が、商業主義的・戦争鼓舞の手段として作られてきたハリウッド映画とは一線を画している点に注目して、半年間フランス映画を見てみようという企画です。

シリーズ命名にあたって、上映の前後にレクチャーをしてくださる嶋田邦雄さんが次のことを書いていらっしゃいます。
「映画はその根源に資本主義的な生産工程、様式と切っても切れない関係があります。その生い立ちを逆手にとって世界の、人間の矛盾や可能性、希望や絶望を映像化する映画製作は演劇と対峙する素晴らしい芸術表現形態だと思います。そのことを再確認する思いも込めて‟映画のルーツへの旅”とのタイトルを考えてみた次第です。」

というわけで、その巻頭を飾るのは
大いなる幻影

 【La Grande Illusion】
監督 ジャン・ルノワール
1937年 フランス映画 114分

第1次世界大戦のお話です。
二人のフランス兵が乗った飛行機が撃墜され、ドイツ軍の捕虜となりました。一人は貴族のボアルディー大尉。もう一人は機械工のマレシャル(ジャン・ギャバン)。ドイツの収容所では、貴族出身のラウフェンシュタイン(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)が二人をていねいに扱います。ボアルディーとラウフェンシュタインは同じ貴族出身ということで、敵味方を超えた友情を感じます。さらにロザンタァルという金持ちのユダヤ人も加わって、収容所は様々な身分、国籍の人間が集まります。
ある日彼らはスイス国境近くの収容所に移送されますが、そこに新しくやってきた所長はラウフェンシュタイン。彼はボアルディーに再会できたのを非常に喜びます。一方マレシャルとロザンタァルは脱走計画をたててますが・・・・

身分、民族、貧富、敵味方を超えた友情。
生まれた国が違うという理由だけで殺し、国境を超えたからといって撃たない戦争の矛盾。
いろいろ深く考えさせられつつ、美しい物語です。
ぜひ会場にお越しください。

日時 : 2016年10月16日(日)3:00〜 申し込み不要

 場所 : どろアトリエ
    (新長田アスタくにづか5番館2階奥)
      地下鉄海岸線駒ヶ林駅上2分
      新長田駅から大正筋を六間道商店街まで南へ10分

 参加費 : 500円 (会場使用料として)

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