新長田まちなか勉強会

神戸市の新長田で、映画、音楽、本、地図、芸能、あらゆる “もの” を通して、古今東西の社会情勢や歴史、背景などを楽しく勉強しましょう。表面的な出来事の背後にある大切なものを見る目を養い、みんなで話し合うことによりたくさんの異なる視点を得ることができます。実際は、わいわい楽しみながら感想を語り合いつつ社会問題に迫っていく感じ。

第109回アメリカのメタファー第2弾『マンダレイ』

次回の映画会のお知らせです。 ついにアメリカシリーズが最終回となりました。前回の『ドッグヴィル』はアメリカシリーズなのにデンマークの監督でしたが、実によくアメリカの縮図になっていたと思います。よそ者はここの文化を受け入れ、みんなに気に入られ…

第108回芝居の手法で正義を振りかざすアメリカを描く『ドッグ・ヴィル』

次回の映画会のお知らせです。アメリカシリーズ第5作目はデンマークの監督ラース・フォン・トリアーによるアメリカを舞台にした映画です。アメリカのドッグヴィル(犬の村)という名の村で起こったできごとを描くことで、自分が正しいと思っている普通の人々の…

第107回 インディーズ映画の父カサべテスの『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』

2023年も充実したラインナップで終えることができました。前半の「女シリーズ」では、かなり論議を呼ぶ映画を選びました。特に『私の20世紀』では1900年の女性蔑視をおとぎ話のように描いていて、2度と見たくないと文句を言われたのが印象的でした。監督の意…

第106回『ノーマ・レイ』実話を元にした爽やかな感動

次回の映画会のお知らせです。アメリカシリーズの第3回目。アメリカの闇を2回続けて観ましたので、次は爽やかな社会派ドラマです。アメリカ南部の紡績工場で働くふしだらな女性が労働運動に関わることで、次第に自立し、成長していく話です。 ノーマ・レイ…

第105回 アメリカが抱える社会問題が家族にふりかかる『アメリカン・ビューティー』

次回のビデオ上映会のお知らせです。 前回から始まった「アメリカシリーズ」では、自国の社会問題を取り上げ、それを見事に料理できる「アメリカの懐の深さ」をみんなで鑑賞していきたいと思います。 『ワグ・ザ・ドッグ』はフェイクニュースの怖さはもちろ…

第104回 『ワグ・ザ・ドッグ』はコメディ映画だけどホラー映画

新しいシリーズが始まりました。アメリカシリーズです。「シリーズアメリカの影」または「シリーズアメリカの暗澹」などと題したかったのですが、アメリカに限らず世界のどこでも起こっていることなので、とりあえず「アメリカシリーズ」。 第1回目は、今現…

第103回 『ヴェロニカ・ゲリン』暴力に屈しない女性が社会を変えた

次回の映画会のお知らせです。 「女性シリーズ」最後の作品になりました。このシリーズで、働いて夫を支えるシューマンの妻、教育を与えられないモーツァルトの姉、ナチスに意見する女の子、電話で繋がっているのに心が繋がっていない女性、科学が進む20世紀…

第102回 『私の20世紀』女性にとって20世紀はどんな時代ですか

毎日毎日暑いですね。こう暑いと何もする気が起こらない、と思ってるうちに次回の映画会のお知らせが遅くなってしまいました。すみません。言い訳でした。 「女シリーズ」もあと2回になりました。前回の『トリコロール赤の愛』では、つながっているのに心が…

第101回 青・白・赤どの作品が好きですか?『トリコロール/赤の愛』

新長田まちなか勉強会は100回積み重ねることができました。ありがとうございます。世界の状況に疎かった私も、いろんな映画を見、嶋田さんの解説や皆さんの感想を聞いて、宗教・世界史・経済・地政学の面から世の中の仕組みを考えることがでるようになったと…

第100回 『白バラの祈り:ゾフィー・ショル最期の日々』で信念の意味を考えてみる

新長田まちなか勉強会が100回目を迎えます。第1回は2015年4月26日ですから、あれから8年2か月経ったのですかぁ。感慨深いですね。劇団どろの芝居小屋の家賃が大幅に値上げされたため、それを少しでも補おうと始まりましたが、新しいメンバーも増え、とても楽…

第99回 女性観により運命を翻弄される女たち『ナンネル・モーツァルト : 哀しみの旅路』

次回の映画会のお知らせです。『譜めくりの女』で始まった「女シリーズ」では、多くを語らないフランス映画の醍醐味で感想がとても盛り上がりました。映像化されていない部分でどんな出来事があったのか、観る人に想像を委ねるフランス映画らしい作品でした…

第98回 愛と憎しみが交錯するとき『譜めくりの女』

次回の映画会のお知らせです。新しいシリーズが始まります。題して「歴史を作った女たち」シリーズ。と言っても歴史上の有名な女性が題材ではありません。普通の女性のある日常を切り取って、その生き方などをいろいろ語り合いましょうというシリーズです。 …

第97回 クラシック音楽好きのニーノ・ロータのためにフェリーニが作った『オーケストラ・リハーサル』

「音楽もともに楽しむシリーズ第2弾」がいよいよ最終回となりました。前回の『善き人のためのソナタ』では、ヴィースラーの心の変化が一体いつ起こったのかについていろいろな意見が出ました。ブレヒトの本を読みたいと思って部屋に忍び込んだ時、ピアノソナ…

第96回 冷徹スパイの琴線に触れたブレヒトの詩と音楽『善き人のためのソナタ』

次回の映画会のお知らせです。 前回の『三文オペラ』では資本主義社会の批判から学校教育の問題点などかなり活発な意見交換ができました。次回もブレヒト繋がりの作品になります。 善き人のためのソナタ 【Das Leben der Anderen】 監督:フロリアン・ヘンケ…

第95回 ブレヒトの『三文オペラ』でハッピーエンドの意味を考えよう

あけましておめでとうございます。昨年もたくさんの映画を見て、皆さんの感想からいろんな発見ができました。今年も引き続き楽しい映画を一緒に見たいと思います。みんなで見ると、それだけ別の視点ができてとても勉強になります。人それぞれ生まれ育った背…

第94回 シューマンを生涯支え続けた天才ピアニスト クララ

音楽もともに楽しむシリーズⅡの第3回目のお知らせです。 不思議なバロック風の音楽、オペラと続きました。 次回はシューマンのピアノ曲です。 哀愁のトロイメライ:クララ・シューマン物語 【Frühlingssinfonie】 監督:ペーター・シャモニ監督 1983年 西ド…

第93回 イングマル・ベルイマン監督がモーツァルトの『魔笛』を演出

前回の『ふたりのベロニカ』なんとも不思議なお話でしたね。最初一人で観た時は、意味が全然わかりませんでしたが、今回皆さんの感想を聞いているうちに、なんとなく感覚で腑に落ちたというか、特にわからなくてもいいのだと確信したというか・・・。映像が…

第92回 不思議なバロック音楽もともに楽しむ「ふたりのベロニカ」

次回のまちなか勉強会のお知らせです。新しいシリーズが始まりました。「音楽もともに楽しむシリーズ 第2段」です。 前回の「音楽もともに楽しむシリーズ」第1弾にどうしても入れたかった作品を、今回第2弾として観ていきたいと思います。 第1回目 ふたりの…

第91回 『明日へのチケット』人生の地味と希望にあふれた奇跡のコラボレーション

朝晩は秋を感じるようになりました。次回は、ケン・ローチ監督作品のシリーズ最終回です。 明日へのチケット 【Ticlets】 監督: ケン・ローチ、エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ 2005年 イタリア/イギリス 115分 今シリーズでは、毎月ケン・ロー…

第90回 ケン・ローチが軍事介入の告発を描くと『カルラの歌』

次回の映画会のお知らせです。ケン・ローチ監督シリーズ第5回目は舞台がニカラグアに移ります。 ケン・ローチ監督の作品で、労働問題をテーマにしたものを続けて2作品見てきました。『ブレッド&ローズ』では労働条件の悪いなか組合を作り立ち上がる中南米…

第89回 自由のあらゆる意味 「この自由な世界で」

会次回の新長田まちなか勉強会のお知らせです。 前回の『ブレッド&ローズ』は、不法労働で足元を見られ、劣悪な労働条件を飲まざるを得ない移民労働者のお話でした。主人公のお姉さんローサの告白には胸が詰まり、涙が止まりませんでした。 さて、ケン・ロ…

第88回 最低限食べていけたらじゃないよね。『ブレッド&ローズ』

次回の映画会のお知らせです。ケン・ローチ監督作品を6本続けて鑑賞しようというシリーズ第3弾は、監督が初めてアメリカで撮影をした作品です。 ブレッド&ローズ 【Bread and Roses】 監督:ケン・ローチ 2000年 イギリス映画 110分 スペインシリーズの時…

第87回 『マイ・ネーム・イズ・ジョー』住む世界の違う男女の恋をケン・ローチ監督が描くと

ケン・ローチ監督作品シリーズ第1回め『ケス』はいかがでしたか。たくさんの感想があって楽しい会になりました。ケン・ローチ監督のサッカー好きがめちゃめちゃ出てました。33歳の時の作品ですが、観客を感動させるのも、この時から上手いですね。 次回の作…

第86回 ケン・ローチ監督特集の第1弾は初期の傑作『ケス』

4月から新シリーズが始まります。ケン・ローチ監督作品を6回に渡って特集する予定です。第1回目は初期の傑作「ケス」。 ケス 【Kes】 監督 : ケン・ローチ 1969年 イギリスの映画 110分 <ストーリー>イギリス・ヨークシャーの小さな炭鉱町に暮らすビリーは…

第85回 ドタバタ喜劇なのに流麗で美しい『會議は踊る』

次回の映画会のお知らせです。「音楽の楽しさとともに」シリーズも最終回になってしまいました。映画を見ながらついつい歌を口ずさんでしまう作品ですよ。 會議は踊る 【Der Kongreß tanzt】 監督 : エリック・シャレル 1931年 ドイツ映画 95分 <あらすじ>18…

第84回 絵画と映像が美しく昇華『放浪の画家ピロスマニ』

「音楽とともに楽しむシリーズ」も残すところあと2回。次は民族音楽です。 放浪の画家ピロスマニ 監督:ギオルギ・シェンゲラヤ 【Pirosmani】 1969年 ソ連映画 87分 民族音楽といえば、「ガッジョ・ディーロ」「黒猫/白猫」でロマの音楽を、「スール」でピ…

第83回 サッチャー時代の人間の誇りが胸にせまる「ブラス!」

2021年もたくさんの方にお越しいただきました。ありがとうございました。コロナ禍の真っ只中の1年でしたが、3密を避ける、換気、消毒を徹底して、開催することができました。隙間風が寒かったり、外が騒がしかったりなどのご不便をおかけしましたが、ご理…

第82回 即興演出で鮮烈なデビュー ジョン・カサヴェテス『アメリカの影』

12月の映画のお知らせです。「音楽の楽しさとともに」シリーズ3回目は、ジャズが流れる映画です。 アメリカの影 【Shadows】 監督:ジョン・カサヴェテス 1959年 アメリカ映画 87分 <あらすじ> マンハッタンに住む黒人と白人の混血三兄妹。外見が黒人の売…

第81回 ブラックユーモアで戦争批判ミュージカル『素晴らしき戦争』

「音楽の楽しさとともに」シリーズの第1弾『バンディッツ』では、映画の主題である囚人の脱走を表層的にとらえず、悪とはなにか、社会に不必要と烙印を押されている人にもそれぞれ思いや希望がある、ということまで話し合いました。この映画6回目!という大…

第80回 新シリーズ「音楽の楽しさとともに」の第1作目を飾る『バンディッツ』1997

次回の映画会のお知らせです。新しいシリーズが始まります。新シリーズ「音楽の楽しさとともに」では、映画の中に音楽がふんだんに使われている6作品を選びました。 第1回目はロックです。さながらMTVを2時間で撮ってみました的な作品で、音楽もストーリー…